しふくのーと

誰も得しない日記

拾われた音

 

音楽の日

本当に素晴らしかったですね。

そんな中で歌われた一曲の思い出を一つ。

 

 

『友 〜旅立ちの時〜』

今日の音楽の日で歌われた。

中学のときの合唱曲でもあった。

 

曲が決まっても伴奏者はすぐには決まらなかった。

給食を食べ終わったある日の昼休み。

教室には誰でも使えるキーボードが置いてあった。

曲自体は家でよく聞いていたこともあり、クラス全員に配られた楽譜を持ってそのキーボードで少しイントロを弾いてみた。

周りには聞こえないほどの小さな音で。

 

「弾けるの? 伴奏やってみない?」

 

話しかけてきたのはピアノを習ってて趣味でしかやってない自分より断然上手かった女子。

たどたどしかった小さなメロディに反応してきた。

伴奏を勧めてきながらも、その子は奪うようにキーボードの前に立ってイントロを弾いた。

もちろん言うまでもなく綺麗な音だった。

 

結局 伴奏はやらなかった。

弾いたのはその子。

「人前で弾くのあまり好きじゃないから」

そんな口述で断った。

でも本当はイントロが少し弾ける程度だったから。

そもそもその子の音になんて敵わなかったから。

 

自分の出した音に初めて感想をもらった瞬間。

(感想かと言われると微妙だけど)

ふとした瞬間に思い出すものなんだね。

 

きっと忘れないかな。

 

 

 

 

 

fin.