そう信じて
『震度6弱』
初めて身体が経験する揺れが襲ったのは夜の静寂。
物が落ち、テレビが倒れ、本が散らばった。
電気が消え、水が止まり、町から食べ物が無くなった。
家を出て明かりを探し歩いた。
写真を撮ることも忘れてただ必死にその現状に目を向けて生きてた。
一年が経過して改めて振り返った。
一年という月日の中で "日常" という抽象的な言葉への深さと感謝が身に染み込んだ。
電気がある。水がある。食べ物がある。
それら全てが僕らの毎日を当然のように形成している "灯り" であることを決して忘れてはいけないと感じた。
辛く大変だった日々を乗り越えた今、
その経験が何一つとして風化されることなく心にも身体にも生きていくことに努める義務がある。
そんな思いが自分自身に今出来る一番のことかな。
fin.