しふくのーと

誰も得しない日記

五つ星

 

 

『ずっと真夜中でいいのに。原始五年巡回公演  喫茶・愛のペガサス』

 

 

一昨年までは名前と有名曲しか知らなかった。

 

そんな中、昨年出会った ミラーチューン や 残機 と言った曲たちがずとまよ熱を加速させた。

 

テクノプアツアーに行けなかった分、今年は Zepp での 元素どろ団子ツアー と今回の 愛のペガサス 2Days。

 

一年に三度もACAねさんに会えるなんて本当に幸せだね。

 

同じく昨年3回会えたみすたーなんちゃらさんを思い出すなあ。

そういえば miss you のチケットはどこだろうね。

 

師走に突入した愛ペガ札幌店の思い出を残すよ。

 

 

 

 

 

 

 

開演前

 

 

【カナモトホール】

 

学生のとき以来6年ぶりの会場。

 

ちょうど半年前はすぐ隣の 札幌文化芸術劇場 (hitaru) で月光下のヨルシカを見たんだよね。

 

 

 

テレビ塔前にはツアトラもあって。

 

札幌だと分かる構図に収められるように停めてくれたのかな。

 

運営さん、ありがと。

 

 

 

中では ZUTOMAYO PREMIUM コーナーや演奏で使われるオープンリール、ツアーグッズといったたくさんの展示品たちが迎えてくれた。

 

 

会場内に入ると、昭和レトロな喫茶店を模したセットが目に入ってくる。

 

名前の入ったお店の看板や食品サンプルを展示するショーケースのほか、お店の中のカウンター席やテーブル席まで再現されていた。

 

 

初日の席はステージ全体を見られる会場中央。

リセールで当選した2日目はステージから前5列ほどを占めるプレミアム席のすぐ後ろ。

 

特に2日目は6月のヨルシカのときと同じようにスピーカーが近くて、ベースやバスドラムの振動が床越しに伝わってくる席だった (ありがたや ありがたや)

 

 

 

 

 

01. Opening

 

砂漠の寒く暗い夜の中、一人の男が彷徨っている。

 

オープンリールを持ったその男は彷徨った果てに「喫茶・ペガサス」を見つける。

 

砂漠の中にあるそれは、まるで救いとも言えるオアシス。

 

懐中電灯の僅かな灯りで見つけた喫茶店を見回していたが、「リンリン」と突然鳴り出した店員を呼ぶ鈴の音に驚き、逃げるようにその場を去っていってしまった。

 

やがて少しノイズの乗った音質でレトロな歌が流れるとともに、お店のショーケースが光り出し、ステージに掛けられた暗幕には、宇宙を駆け回るペガサスに乗ったうにぐりくんの映像が映される。

 

どこか サターン(Acoustic ver.) の Music Video の世界観を感じたりもしてね。

 

 

機械の不調によって歌が止まると、数秒の沈黙の後に聞こえてきたのは、お店の開店を告げる優しい声だった。

 

 

 

 

 

02. マリンブルーの庭園

 

聞こえてくる声とともに幕が開いていく。

 

茶店の屋上に座っているACAねさん。

 

お団子ヘアで背中にはペガサスの羽を付けている。

(ペガサスというか可愛すぎてもはや天使なんですが)

 

各箇所の演奏隊も座って静かに始まる。

 

"歴史あるレトロな喫茶店に入店し、落ち着いたBGMが迎えてくれて、席に着き、メニューを開く"

 

そんなゆっくりと流れる空間を形成するかのような一曲で幕を開けた。

 

 

高鳴る夜は眠れない

会いたいを認めざるを得ない

 

ライブ前日の自分かな??(深夜3時まで起きてた人)

 

一番のみの short ver. だったけれど、会場の全員がこの喫茶店を入店時点で心地良く感じていたことは、演奏隊という従業員たちに送られた拍手が物語っていた。

 

 

 

 

 

03. ミラーチューン

 

ACAねさんが一階に降りてきて、キャッチーなギターリフが響く。

 

(は!!!みらちゅんッッ!!!!!)

 

イントロで既に高揚感を覚えた身体。

反射するかのように立ち上がってしゃもじを叩く。

 

音盛り盛りでオシャなところに加えて TV♡CHAMY さん制作の Music Video も可愛くて大好きな曲。

 

 

Music Video のミラーシューターを持ったACAねさん。

2日目は自分を目掛けて打ってくれました。

 

染まらないよ心臓  揺るがないんだ

 

いや、普通にハート射抜かれましたけど?

ACAね色に染まりましたけど???

どうしてくれるんですか?????

 

そして歌い終わりの「ミラーチューンッ!」が可愛すぎてこれが致命傷でしたね(昇天)

 

 

 

 

 

04. お勉強しといてよ

 

前曲から間髪入れずにトランペット(吉澤達彦さん)とトロンボーン(半田信英さん)のアレンジから始まる。

 

イントロや歌い出しが始まっても音源以上に大きく鳴り響くブラス隊の音だったが、サビ直前に演奏が止まる。

 

 

「ずっと真夜中でいいのに。です!」

 

 

ACAねさんのその声に歓声と拍手が会場を包み、サビの色とりどりの音たちに合わせてしゃもじが振られる。

 

3曲目にして既に完成されているかのような会場の一体感は、つい先ほどまで幻想的に幕を開けた空間とは思えないほどだった。

 

それと間奏の弾むようなタッチながらも流れるようなピアノ(西村奈央さん)を生で聴けたのが嬉しかった。

 

 

 

 

 

05. 勘冴えて悔しいわ

 

どうやらACAねさんはそう簡単に休憩を与えてくれないみたい。ありがと。

 

アップテンポな曲調に加えてさらに音も増々なスーパーアレンジver.で喫茶店を彩っていく。

 

早口なAメロに加えてサビの急な高音。

歌うのが難しいはずの一曲なのに、主張の強い音たちに負けないACAねさんの高音は原曲そのままのクオリティ。

 

凄すぎた。

というかまだライブ序盤なのに声出過ぎだよ。

 

2番が歌われなかったことなんて微塵も気にならないくらいのボリュームで、4曲目にしてメインディッシュを食べたかのようだった。

 

 

 

 

 

06. 馴れ合いサーブ

 

オリジナルの卓球ラケットもグッズとして発売されたイントロのベースが印象的な沈香学からの一曲。

 

ライブ前のぼく

【Q. ライブで盛り上がるんですよね??】

 

ライブ後のぼく

【A. ちゃんと盛り上がります。アゲアゲです。】

 

少し気怠いような歌い方が個人的にどストライクで、サビの「 ai!ai!」がめちゃんこ楽しい。

 

オープンリール担当の2人(吉田悠さん、吉田匡さん)はステージ上で卓球やってて笑っちゃった。

 

 

 

 

 

07. MC

 

「原始五年巡回公演  喫茶・愛のペガサスへようこそ」

 

ACAねさんによる歓迎の挨拶。

 

その後ろで流れている一般的な喫茶店で耳にするムーディーなBGMは、よくよく見るとピアノとベースの生演奏。

 

「この喫茶を経営するペガサス役のACAねです」

 

皆の心のオアシスのオーナーさん。

自己紹介とともに、誠心誠意おもてなしすることも告げてくれた。

 

さらに現地の砂漠の民族たちを雇用しているとのことで、ステージ各所にいる「ラブ・バリスタの名が付いた演奏隊も紹介。

 

しゃもじがある人はもちろん、持っていない人も好きなように楽しんで大丈夫 と優しいお声掛けまでしてくれる配慮も素敵だった。

 

 

"偶然が重なってできるレシピ"

 

そんな今日しかない一度きりのメニューがこの喫茶の自慢であることを紹介した後、再びレトロな曲たちが流れ始める。

(山口百恵さんや中森明菜さんの曲だったかな)

 

その曲たちの後に流れてきた一曲は、次に出てくる新たなメニューだった。

 

 

 

 

 

08. 夜中のキスミ

 

原曲より柔らかくて温かい始まり。

 

始まりから終わりまで曲中に染み渡る温かさの根底にあるのはトランペットかな。

 

レトロな曲たちから繋がる喫茶店の雰囲気に合った淡い空間だった。

 

ちなみに short ver. でした。

 

 

 

 

 

09. 違う曲にしようよ

 

うにぐりくんの着席サインが点灯する。

 

前曲から続くゆったりとした時間をより優雅に楽しんでもらおうといった意図もあったのかな。

 

こちらも short ver. でした。

 

 

 

 

 

10. 不法侵入

 

ステージ中央の椅子に座って歌うACAねさん。

 

君じゃなきゃだめなんだよ

 

ピアノとアコギによるバラードver. なことによって、真っ直ぐで切ない歌詞がより際立つ。

 

曲の後半になるにつれて歌声に力強さも出てきたことで、想いの強さが増す表現となっている部分も美しかった。

 

アウトロにはドラムも合流し、座りながら刻んでいたリズムが少し弾んでいた気がした。

 

 

 

 

 

11. 上辺の私自身なんだよ

 

沈香学の最後を飾る一曲。

 

孤独になったときに寄り添ってくれるような歌詞が印象的。

 

"単に優しい言葉を掛けるのではなくて、時には声を掛けずに優しく見守ることで味方でいてあげられる" といった人の繊細な心まで加味した奥深さがこの曲一番の部分でもあって。

 

傷口に滲みる消毒液のように、傷付いたときに沁みる一曲であってくれると今回のライブで気付いた。

 

 

 

 

 

12. MC

 

そろそろランチのお時間に。

 

会場の皆に3種類の日替わりメニューの中から希望を取るオーナーさん。

 

 

A 『クリーミーな雲丹と香ばしい栗をふんだんに使ったおにぎりセット』

 

B 『奥底で5年間ぐつぐつ煮込んだルーツカレー』

 

C 『薄っぺらい生地にバターな地方で採れた幻の青魚のホットサンド』

 

※ランチメニューの詳細はいずれも他の方のレポより

 

 

しゃもじ拍子の大きさで一番人気となったのは............

 

 

 

「オーダー!奥底で5年間ぐつぐつ煮込んだルーツカレー!大盛で!」

 

 

量までサービスしてくれたオーナーさんが鈴を鳴らして注文し、屋上に上がる。

 

 

「ルーツカレー ... 札幌なのでスープカレーで(笑)」

 

ご当地の内容にしてくれたのが嬉しかった。

 

スパイシーな夜が続いていたらしく、これまでに負けないように五香粉のようなテイストで提供してくれるとのこと。

 

ちなみに札幌公演後に きらきらネームbot がこのミックススパイスに反応しており、ずとまろ界隈がざわついておりました。

 

 

 

オーナーさんからラブ・バリスタたちにスパイス多めの注文が入る。

 

「か、辛さは、、、汗」

 

オーナーさんのフィーリングに少し不安になってて笑っちゃった。

 

「デスソース激辛カレーで」

 

五香粉以外にしれっとデスソースも入れてくるオーナーさん。

鬼か?(歓迎)

 

調理工程もゆったりと見てほしいとサービス満載な一曲が始まる。

 

 

 

 

 

13. 奥底に眠るルーツ

 

パーカッション(神谷洵平さん)を先頭にアコギやドラムは控えめにしっとりと調理が始まる。

 

途中から中華包丁を手にしたオーナーさんも屋上で具材を切ったりしている様子。

 

朝から胃もたれしてく

 

(ま、まぁ五香粉もデスソースも入ってるからね.....笑)

 

アウトロでは皆のしゃもじをふんだんに使い、激しさを増すドラムやブラス隊らとともに仕上げに入る。

 

オーナーさんの「スパイス多め!」「スパイス少なめ!」の合図で量をきめ細やかに調整して完成した一品は、辛くても笑顔になるスパイシーでホットな美味しさ満点のスープカレーだった。

 

 

 

 

 

14. 正しくなれない

 

調理を終えて一階に戻ってきたオーナーさん。

 

真っ直ぐ伸びるその声に鳥肌が立った。

 

"生でその声と演奏隊が作り出す音、形成される空間を聴きたい、見てみたい"

 

それだけ自分が聴き望んでいた曲は、至福のランチから一転して(むしろ反動的な部分もあって)、演奏はもちろん、ACAねさんの声とその姿で、これまでにない完成度を誇っていた。

 

嬉しさとそのレベルの高さに心を打たれた一曲だった。

 

 

 

 

 

15. 眩しいDNAだけ

 

チェーンのような鎖をジャラジャラと音を鳴らしながら歌い出しが始まる。

 

サビになると客席が総立ちになり、光るしゃもじが揃うように揺れていた。

 

「満たされてたくないだけぇぇぇぇ!!!!!!!!!

 

ラスサビを前に ACAねさんのロングトーンが会場に響く。

 

歓声に包まれながら転調したラスサビは、今思えばこの後に続いていく曲たちが持つ熱量の序章に過ぎなかったのかもしれない。

 

序章の時点で盛り上がりは物凄かったんだけどね。

 

 

 

 

 

16. マイノリティ脈絡

 

前曲でかかったエンジンは、嵐の前の静けさのようなAメロBメロを挟んだ後にフルスロットルとなる。

 

胸の内をぶちまけるような(実際は "口にはしない" けど)勢いのサビは、原曲よりもトランペットを始めとした演奏隊が強めなロックで華やかしい演奏だった。

 

足りない=繋ぎたい=言葉にしちゃう から

ありがと、でよかった

 

今まで口にしなかったけど、最後に「ありがと」と言えた歌詞のストーリーも好き。

 

今回のライブで一番ライブ化けした一曲だった。

 

 

 

「まだまだ行くぜーー!!!」

 

その声に賛同する歓声がフルスロットルのエンジンの出力をさらに上げていく。

 

 

 

 

 

17. 低血ボルト

 

熱を帯びたライブ後半にやってきたピアノロック。

 

前回のピアノとギターだけの元素どろ団子ツアーで演奏されると思ったけどされなかった曲。

 

今回聴けて嬉しかったな。

 

頭でっ価値  ずっとうんと砕いてもっと

乱してあげて

脳みそ達止められない  操れない僕に

期待したいんだ

 

頭でっかちな考え方を砕いて、脳では止められないほどの考え方を期待したいと叫ぶサビの歌詞。

 

前曲で出力を上げてブレーキの効かなくなったエンジンをそのまま活かすように、サビの叫びとアップテンポな曲調が会場にさらに熱と電気(ボルト)を帯びさせていった。

 

まぁこの曲のボルトはねじの方の意味なんだけどね。

 

 

 

 

 

18. 残機

 

二家本亮介さんによるベースソロからACAねさんの「Yeah(嫌)」の声を合図に本来のベースイントロに入る。

 

ミラーチューンとともに昨年ずとまよ熱に火を付けたもう一曲。

 

 

この Music Video も可愛くて好き。

(これも TV♡CHAMY さん制作)

(というか TV♡CHAMY さんの作画がそもそも好き)

 

 

ピアノとギターだけだった元素どろ団子ツアーから一転した原曲ベースの演奏に前回以上にテンションが上がる。

 

左手に叢雲の剣を持ったACAねさん。

 

相変わらず「平凡な生活」「先手必勝で」の hihiA まで地声で出してくるのは何回聴いても意味が分からない(褒)

 

やっぱりハイトーンの悪魔と契約してるね。

 

最後のライブアレンジの高音のロングトーンは、この日も当たり前のように細部まで伸び切っていた。

 

 

 

 

 

19. S.MC

 

5年を迎えられた音楽活動に感謝を告げるACAねさん。

 

何度も来られた札幌のほかに、まだ行ったことのない場所でも皆に会いたいと思い、全国を回るツアーを開催したとのこと。

 

そして改めて、今日、足を運んでくれたことへのお礼の言葉を口にするとともに、そんな5年を迎えた活動の始まりの曲を届けてくれた。

 

 

 

 

 

20. 秒針を噛む

 

 

『原点にして頂点』

 

そう言っても良い曲なんじゃないかな。

 

デビュー曲とは思えないクオリティ。

 

この曲の演奏もブラス隊が原曲にはないオリジナルアレンジを加えてくれる。

 

「みんなで!」「もっと!」「右から左!」といったACAねさんの声掛けに合わせるお馴染みの終盤のしゃもじ拍子レスポンスに、この日は「スパイス多め!」のパターンも加わった。

 

残機 に負けない最後のロングトーンは、5年という月日で年々進化していった歌唱力から成る力強いものだった。

 

 

 

 

 

21. MILABO

 

ライブ終盤にきて、ずとまよで一番好きなイントロが流れる。

 

このときのテンション、やばかったね(語彙力)

 

屋上にレーザー照明を放つミラーボールが出現し、会場全体がキラキラと彩られていく。

 

しゃもじだけでなく身体も一緒に揺れたくなるほどのサビのキャッチーなメロディは、ミラーボールの演出とともにライブ空間としての最適解であることが表れていた。

 

アウトロではこの日初めて登場した扇風琴を鳴らすACAねさん。

 

今も目に焼き付いてるその光景。

エモすぎて言葉のいらない思い出になった。

 

他にも Bow! の大大大放出祭りで笑っちゃった。

 

 

 

 

 

22. S.MC

 

「好きな事だけど、上手くいかなくて、伝わらなくて気持ちが沈んでいく感覚」

 

「でもそれはきっと自分だけではく、誰にでもある感覚だから一人じゃないよ、大丈夫だよ って言いたい」

 

 

たとえ底辺のてっぺんにいても、落ち込んでる方が進めるセオリーだと、いつだって人生の味方でいてくれるACAねさん。

 

そんなACAねさんの音楽も落ち込んでるときに心に凄く響く。

 

それも "進めるセオリー" の一つなのかなって。

 

 

どんな毎日であれ、日々ご飯をよそって食べて生きていく宿命を背負っている。

 

誓いのサインとして掲げたしゃもじとともに皆で踊るのだった。

 

 

 

 

 

23. 綺羅キラー

 

最初の一音から決めてくる着火から強火なギターイントロ。

そこに投入される早口のAメロは、もうすでに調理開始から数秒でパラパラのチャーハンが炒められてるような圧倒的に早い満足感を得られる。

 

サビでは左右交互の方向にしゃもじを上げる今までにない振りでめちゃんこ楽しかった。

 

1番の後のラップ部分は、Calliope がいなかった分、ACAねさんによるアレンジver.で披露される。

 

全ては聴き取れなかったけど「スパイシー」って言ってた部分があったかな。

 

「札幌 会いに来たよー!!!」

 

地名を叫んでくれる喜びの歓声に包まれる中、再び振りが楽しいサビに入る。

 

この曲としての楽しさはもちろん、これまでの曲の分も蓄積された満足感は、底辺から真逆のてっぺんにあった。

 

それはしゃもじを左右に振る皆の顔を見れば明らかだった。

 

皆が笑顔で踊った喫茶店のラストメニュー。

 

「ありがとう! ずっと真夜中でいいのに。でした!」

 

オーナーさんの言葉に大歓声が返される。

 

北の大地に開店した喫茶店は、大盛況の中、幕を閉じた。

 

 

 

 

 

24. Encore

 

ラストメニューに満足したはずなのに、会場はすぐにしゃもじ拍子が響き渡る。

 

皆デザートは別腹ってことなんだね。

 

暗闇の中、屋上にACAねさんのシルエットが見えると、しゃもじ拍子がスッと収まり、アコギの音が響いた。

 

 

 

 

 

25. サターン (Acoustic ver.)

 

楽曲の前にまず言わせてくださいどうぞありがとうございます。

 

 

 

ACAねさん、可愛さが限界突破しました。

 

 

 

アンコール衣装としてウェイトレスの姿で登場したオーナーさん。

 

薄暗く当たる淡い照明下でのその姿は、男女関係なく致死量レベルのそれ。

 

衣装が可愛かったという声が終演後にあちこちから聞こえてきた。

 

 

そろそろ楽曲の方に戻るね。

 

 

これは人間の性質上そうなんだけど、音が少ないとその分、普通の楽曲以上に歌声に聴き入ってしまうんだよね。

 

この日の 不法侵入 や Dear Mr「F」も同じなんだけど、聴き入るたびにACAねさんの歌唱力がとんでもないレベルだと圧倒される。

 

店内では、ラブ・バリスタたちが日常を過ごすようにゆっくりとくつろいでいる。

 

アコギで最後まで歌い切った後、アウトロでは くつろいでいたラブ・バリスタたちが楽器をかき鳴らしはじめ、しゃもじ拍子を煽る。

 

たった一人での路上の引き語りから始まった ずっと真夜中でいいのに。という音楽が、5年という月日の中で出会った仲間たちでこんなにも彩られているんだと、アコギの音に加わっていくたくさんの音が響く光景を見てそう感じた。

 

「ありがとー!」というACAねさんからの感謝の声は、しゃもじ拍子という一つの音として参加した会場の皆が そんな仲間たちの中の一員であることの証だった。

 

 

 

 

 

26. あいつら全員同窓会

 

イントロのときのしゃもじ拍子は、この日一番揃っていたかもしれない。

 

「お世話になってます」のフレーズで音を止め、オーナーさん、ラブ・バリスタたち全員がお辞儀をする。

 

歓声でそれに応えてサビに突入し、しゃもじを振って飛び跳ねながら全員で踊り舞う。

 

オープンリールの2人ももはや演奏している時間より、我々と一緒に飛び跳ねて楽しく踊っている時間の方が長いのではないかと思うくらい楽しさに満ちた空間だった。

 

ライブに欠かせない一曲を食後のデザートとして出してくれる何とも贅沢な喫茶店

 

そこはたくさんの笑顔で溢れていた。

 

 

 

 

 

27. MC

 

『喫茶・愛のペガサス』の由来のお話。

 

由来はACAねさんが好きな Prince というアーティストの2ndアルバム『Prince』の和名から。

 

『愛のペガサス』と名付けたシュールさや恥ずかしさが、どこかキラキラとして見えて大好きなんだとか。

 

そこにレトロな喫茶を併せて、"日常の中の煌めきに気付けるような人生にしたい" というコンセプトをもとに今回の『喫茶・愛のペガサス』が出来上がったとのこと。

 

 

「自分自身が静かで目立たないような場所にいるけれど、少しでも皆にとっての煌めきになれたら嬉しい」

 

一人ひとりがそれぞれのきっかけで暗い中で放つその煌めきを見つけ、今日、こうして会場に足を運んでいる。

 

それはもうその煌めきが大好きで、見つけられたことに感謝している以外ないよね。

 

ACAねさんからも改めて ずっと真夜中でいいのに。という音楽に出会ってくれたことと、会場に足を運んでくれたことへの感謝を口にしてくれた。

 

 

「曲やライブもいろいろと考えて作ってはいるけれど、最後は人との出会いで生まれる面白さや積み上げたものを壊す儚さを大切にしたい」

 

これからの音楽活動の抱負を述べ、ここからまた新たに始まっていくという意気込みを最後に、ずっと真夜中でいいのに。の原点であり、しょうもなく、憂鬱で、最強な夜ふかしソングを最後に届けてくれた。

 

 

 

 

 

28. 花一匁

 

ずっと真夜中でいいのにって溢した午前5時

 

沈香学 のリード曲であり、前述の想いが込められた特別な一曲。

 

サビではクルクルとしゃもじを回す振り。ちゃんと楽しかった。

 

ラスサビの前には間奏部分を取り入れ、楽器ごとのメンバー紹介が入る。

 

ブラス隊はボーカルの吉田美和さんが北海道出身である DREAMS COME TRUE の『うれしい!たのしい!大好き!』のメロディを吹いてくれる演出。

 

同じく北海道出身であるドラムの伊吹文裕さんの紹介時には、

 

「の! ぼ! り! べ! つ! といえば!」

「ク! マ! ぼ! く! じょう!」

 

\ ク マ 牧 場 ! ! ! /

 

のご当地CMネタのコール&レスポンスで会場をさらに盛り上げてくれた。

 

最後の紹介パートはACAねさんの扇風琴が担い、「はないちもんめーー!!!」の叫びに最高潮の盛り上がりを見せる。

 

「大変な日々、日々ですけど、そんな日々の痛み止めみたいな曲をこれからも作りたい!」

 

そう意気込んだラスサビ。

 

負けて嬉しい  花一匁

寂しさに強い処方箋  欲しいよ

柄にないことばかり  たらたら溢して

早起きの夜も  頑張りすぎは良くないので

健康でいられますように

 

負けて嬉しいのは、綺羅キラーの "落ち込んでる方が進めるセオリー" にも通ずる、寂しくなって気持ちが落ち込むときこそ味方(処方箋)になるものが多くて、そんな処方箋を求めて生きていけることに嬉しさがあるからじゃないかな。

 

"特別に幸せな未来なんて期待はしないから、無理をしないで健康に過ごしたい"

 

その中で音楽活動を含めた日々を過ごしていきたいという真夜中の小さな願いから、これからのずとまよが作られていくんだなと感じた。

 

紙吹雪も舞い、演奏だけでなく視覚的にも華やかな演出となった最後は、本編序盤の自己紹介の際に口にしていた「おもてなし」を最高のかたちで表現し、正真正銘のラストメニューに花が添えられた。

 

 

 

演奏を終え、大歓声に包まれる中、ラブ・バリスタたちがステージを後にし、最後にはACAねさんの「ありがとう!またねー!」の叫びがマイクを通さないで会場に響いた。

 

再会を待つ挨拶に応える声の中で、ガラスのショーケースの前に立ったACAねさんは、忍者の如く、回り出したショーケースとともにステージ裏へと消えていき、喫茶・愛のペガサスは閉店となった。

 

 

 

5周年のアニバーサリーイヤーを飾った今回のライブ。

 

ホールという決して大きくはない会場でも、立体的にも派手なセットを下地とする贅沢さ。

 

そしてそのステージに相応しいライブシチュエーションと、その世界観を作り上げる何種類もの楽器からなる演奏隊。

 

「少しでも皆の煌めきになってくれたら」という願いに込められた、これでもかというほどのおもてなしに最高の喜びと幸せを感じた。

 

本来、もてなされる側が期待するべきものではないけれど、今回の最大限のおもてなしを体験してしまったが故に、次のそれにどうしても期待が膨れ上がってしまっている。

 

来年5月には横浜に本格中華喫茶がオープンすることも発表されたね。

 

 

 

五つ星喫茶の五香粉多めのスパイシーなメニュー、また食べられるといいな。

 

 

 

 

 

 

(終演後に食べたスパイシーなカレーを添えて)

 

 

 

 

 

fin.